
今現在俺は、中古CD、古本、エロ本、古着等を扱うサブカルショップでバイトしている。
出勤のたびに倉庫にある漫画をパクっているので、管理の甘い体たらくな店のは分かろう。
店長はほとんど出勤しないで、来ても二時間ぐらいで釣り道具を持ってどこか行ってしまう。
バイトにまかせきりのカウンターは、まさに「喋り場」で、店内の奥にいても笑い声は聞こえる。
俺は最初、堕落しきった連中に不快感を覚えたが、中年のロン毛眼鏡とアニメの監督みたいなおっさん達の会話に交ざるようになると、次第に考えを改めた。
こんなイカ臭い、田舎のサブカルショップに接客もクソもない。
ちなみに、以前のバイト先は時給、環境ともに劣悪だったので、一番人手の欲しい土曜の勤務をばっくれてやった。
秀才型の要領だけのいい奴らが集っていた(俺から言わせれば愚鈍だが)ので、耐え切れなかったのもある。体制に従って生きてきた奴らは色(ユニーク)がない。
高校時代、モノトーンの奴らにうんざりしていたのに、バイト先で同じ思いをするとは思わなかった。
さて、話は昨日のこと。
例のサブカルショップのカウンターで、買い取った漫画本を雑巾で拭いていると、B系の安い金のネックレスをした、亀田みたいなガキが来た。
見たところ中学1年ぐらいの、生意気盛りの歳だ。
こんなガキが両替して欲しい、とぶっきらぼうに言ってきたので、多少イラついたが素直に両替してやった。
ガキは外にある、一回100円のランプの数で商品をゲットできるマシーンに夢中だった。
既に何度もチャレンジしたらしく、少ない小遣いをさらに投資しようとしていた。
彼は俺から金を受け取ると、小走りでマシーンに近寄り、再度チャレンジし始めた。
それから10分後、外を見るとガキはいなくなったので、欲しい物が手に入ったのだろうと思った。
俺は漫画を拭いては積み上げて、子供の遊戯にも似た作業をして時給が発生している事実を存分に利用していた。つまり、ゆっくり作業をしていた。
休憩を挟んだ後、カウンターに戻ると、さっきのガキがまたマシーンの前にいた。
バイト仲間によると、5千円を両替してまたやり始めたらしい。あの年頃の5千円と言えば、大金である。
俺はガキが何を欲しがっているのか気になり、ガキの後ろから眺めると、女の衣類が透けてる絵に「赤外線 携帯シール」と書かれた商品が目に入った。
文面によると、携帯にそのシールを貼れば衣服を透けさせることができるらしいのだが、そんな魔法のようなアイテム、まともに機能するはずがない。小さく「ジョーク?」と書いてあるし、要するにガキは騙されている。
ガキはそれから持ち金を使い果たしたのか、とぼとぼとカウンターに向かって歩いてきた
また両替か、と思ったら彼は泣きそうな顔して
「これどこかで売ってますか?」
と俺に言った。可哀そうなガキは自力で取ることを諦め、最後の望みに賭けた。
俺はそれが売ってるかどうか知らないし、売ってたとしても教えるのは間違っているような気がした。
かと言って、君は騙されている、と本当の事を言ってしまえばサンタは居ないことになってしまう。
彼は純粋に、男の夢を叶えてくれるスケベなアイテムを信じている。
「うーん、残念だけど店頭では売ってないんだよね。」
俺がそう言うと、羞恥と悲しみの入り混じった顔で頷き、散財した資産家のようにして店を出て行った。
ああいった夢見る子供はやがて大人になり、モザイク処理機を買って失望するだろう。
自分自身に。
テキスト職人 0574Ranking